
ametropia
屈折異常
近視とは

近視は、一般的に「遠くが見えにくい状態」を指します。ピントが網膜より手前で合ってしまうため、遠くを見ようとすると焦点が合わずにぼやけた視界になります。
一方、近くのものは比較的はっきり見えることが多いのが特徴です。近視は日本人に多くみられる屈折異常のひとつで、成長期の子どもや若い世代の方を中心に多く報告されています。
原因・リスク要因
近視が生じる主な原因としては、眼軸(目の奥行き)が長くなることが挙げられます。
遺伝的要因もありますが、近年ではスマートフォンやタブレットなどのデジタル機器の使用増加、勉強や仕事で近くを長時間見続ける生活習慣が視力低下の一因と考えられています。
治療・対処法
- メガネ・コンタクトレンズ
一般的に最も多く用いられる矯正方法です。近視の度数に合わせたメガネやコンタクトレンズを使用することで、焦点を網膜上に合わせ、視力を補正します。 - オルソケラトロジー
就寝時に特殊なコンタクトレンズを装用して角膜形状を調整し、日中は裸眼で過ごせるようにする方法です。軽度から中等度の近視に適応されることがあります。
当院では処方してません。 - レーシックやICL手術
角膜をレーザーで削るレーシックや、人工のレンズを目の中に挿入するICL(有水晶体眼内レンズ)などの屈折矯正手術も行われる場合があります。
ただし、適応には年齢や角膜の厚み、目の疾患の有無などの条件があり、必ずしもすべての方に向くわけではありません。
希望の場合は紹介致します。
遠視とは

遠視は、近視とは反対に「網膜の後ろでピントが合ってしまう」状態です。その結果、理想的には「遠くが見えやすい」とされていますが、実際は遠くも近くもピント合わせに余分な調節(目の筋肉を働かせること)が必要になります。
特に若い頃は水晶体の調節力が高いため、本人は自覚しにくい場合がありますが、年齢を重ねると遠視の影響を強く感じるようになることがあります。
症状
遠視の方は、見た目には問題なく過ごせていても、実は目の奥(毛様体筋)に大きな負荷がかかっています。
そのため、長時間の読書やパソコン作業などで眼精疲労(がんせいひろう)が起こりやすく、頭痛や肩こり、集中力の低下などを訴える場合があります。
また、子どもの遠視は弱視の原因になることがあるため、早期発見と適切な矯正が重要です。
治療・対処法
- メガネ・コンタクトレンズ
遠視用のレンズ(凸レンズ)で焦点を網膜上に合わせ、目の調節負担を軽減します。 - レーシック・ICL手術
遠視矯正にもレーシックやICLの選択肢がありますが、適応範囲や効果は近視矯正と異なる場合があり、慎重な検査・判断が必要です。
希望の場合は紹介致します。
乱視とは

乱視は、角膜や水晶体のゆがみにより、見る場所によってピントが合う位置が異なる状態をいいます。
例えば、縦線ははっきり見えても横線はぼやけるといったように、方向によって見え方が異なります。多くの場合、近視や遠視と組み合わせて存在し、視力低下や疲れ目の原因になります。
原因
主な原因は角膜の形状が球面ではなくラグビーボールのように歪んでいることです。
遺伝的素因や成長による変化に加えて、コンタクトレンズの不適切な使用やケラトコンス(角膜の一部が薄く突出する病気)なども乱視の原因となる場合があります。
治療・対処法
- メガネ・コンタクトレンズ(乱視用)
乱視矯正用に設計されたメガネレンズやトーリックレンズと呼ばれるコンタクトレンズを用いて、縦横の屈折の差を補正します。 - レーシック・その他の屈折矯正手術
乱視度数が強い場合や、メガネやコンタクトレンズが合わなくなった場合には、手術で角膜の形状を整える方法が検討されることがあります。
希望の場合は紹介致します。
老視(老眼)とは

老視(老眼)は、加齢に伴い水晶体が硬くなり、ピント調節力が低下して近くが見えにくくなる状態です。
一般的に40歳前後から自覚し始めることが多く、「本やスマホを以前のように近づけるとぼやける」「メニュー表が見づらくなった」などの症状で気付かれる方が多くいらっしゃいます。
原因と注意点
若い頃は、水晶体が柔軟で、遠くから近くまでスムーズにピントを合わせられます。しかし加齢とともに弾力が失われ、近くに焦点を合わせづらくなるのが老視の仕組みです。
老視は誰にでも起こりうる自然現象ですが、近視や遠視、乱視がもともとある場合には、見え方の変化が複雑になることもあります。
治療・対処法
- 老眼鏡(老視用メガネ)
近くを見る作業が多い場合には、老視専用の凸レンズを使用します。最近では遠近両用メガネや中近両用・近々両用といった様々なバリエーションもあり、ライフスタイルに応じた選択が可能です。 - 多焦点眼内レンズ
白内障手術の際に、多焦点眼内レンズを挿入すると、老視の症状を軽減できる場合があります。ただし、メリット・デメリットがあるため、医師とよく相談して決める必要があります。
希望の場合は紹介致します。 - コンタクトレンズ(遠近両用)
ソフト、ハードそれぞれに遠近両用のタイプが存在します。装用感の好みや度数、生活スタイルに合わせて選択します。
不同視とは

不同視とは、左右の目で屈折度数に大きな差がある状態をいいます。
例えば、右目は近視が強いのに左目は軽度、あるいは右目は遠視で左目は近視といったように、左右の視力や度数に大きな隔たりがある場合です。
症状
左右のピントが異なることで、片方だけに頼った見え方になりやすく、結果として両眼視(りょうがんし:両目で見る機能)の不調和が生まれることがあります。ものが二重に見えたり、立体感がつかみにくかったり、疲れ目や頭痛を起こしやすくなることが特徴です。
また、子どもの頃から不同視がある場合、弱視につながるリスクもあります。
治療・対処法
- メガネ・コンタクトレンズによる補正
左右それぞれの度数に合わせて矯正し、できるだけ両眼のバランスを整えます。
メガネの場合、左右の度数差が大きいと見え方に差が生じやすいのですが、コンタクトレンズを使うとそうした差を軽減できるケースがあります。 - 手術による矯正
状況によってはレーシックやICLなどの手術で片眼だけを矯正してバランスを取りにいく方法も検討されます。
ただし、個々の状況(度数や目の健康状態、ライフスタイルなど)を踏まえた総合的な判断が必要です。
弱視とは

弱視とは、メガネやコンタクトレンズなどで矯正しても十分に視力が出ない状態のことを指します。
多くの場合、小児期(生まれてから視機能が発達する時期)に、何らかの理由で正しく視覚刺激が得られなかったことが原因と考えられています。
原因
- 不同視弱視
左右の度数差が大きいことで、片方の目ばかりを使ってしまい、もう一方の目が十分に発達しない場合。 - 斜視弱視
片眼が内側や外側にずれている斜視があるために、ずれた側の目の視機能が十分に発達しない場合。 - 遠視性弱視・近視性弱視
強度の遠視や近視が未矯正のまま放置され、網膜に鮮明な映像が結ばれない時期が続くと、視力発達が阻害され弱視となることがあります。 - 形態覚遮断弱視(けいたいかくしゃだんじゃくし)
先天性白内障などで視覚入力が物理的に遮られ、網膜が正しい映像を受け取れない状態が長期にわたる場合に生じます。
治療・対処法
- 視力矯正
まずはメガネやコンタクトレンズなどによって適切に屈折異常を補正し、網膜にクリアな像を結ぶ環境を作ります。 - アイパッチ法(健眼遮閉:けんがんしゃへい)
良く見える方の目を一時的にふさぎ、弱視の目を意識的に使う時間を作ることで、視機能の発達を促す方法です。主に小児期に行われます。 - 斜視の手術・白内障手術など
斜視や白内障などが弱視の原因である場合、根本的な治療として手術を検討することがあります。
最後に
屈折異常は、目の構造や働きの変化によって起こるさまざまな見えづらさの総称です。近視は遠くがぼやけて近くは見えやすい、遠視は近くをはっきり見るために大きな調節力を必要とし、乱視は方向によって見え方が異なります。
また、年齢を重ねて水晶体の柔軟性が低下すると老視が生じ、左右の度数差が大きい場合は不同視となり、視機能のバランスが乱れることがあります。
さらに、子どもの頃に適切な視覚刺激や矯正が行われなかった結果、弱視へと発展することもあります。
いずれの屈折異常においても、まずは正確な検査・診断による度数の把握が重要です。適切なメガネやコンタクトレンズを処方することで、多くの屈折異常は生活に支障のない視力まで補正できるようになります。しかし、目の使い方や加齢、ライフスタイルの変化などにより度数が変わることもありますので、定期的に眼科検診を受けていただくことをおすすめします。
もし「最近、見え方が変わった気がする」「目の疲れが増えた」と感じる場合は、早めに眼科を受診しましょう。正しい知識とケアによって、快適な視生活を送ることが可能になります。当院では、患者さん一人ひとりの状況に合わせた検査・治療を行っております。気になることやお困りの点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。